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2008.12.22

1日くらいで消します

結局、最後の最後まで、踊っていたのだけども。それも悪く無いんだ。

少女は笑う
そんな事は悩んでも仕方が無いんだよ、あるがままに受け止めるしか無いんだ。私を含めた全ての異能者なんて、人間ってのがこの世界で最も強いならば結局は駆逐されるしか無いんだよ。それが嫌ならば反抗するか、同化するか、その選択なんてのこそ各自の自由意志に任せるしかないんだよ。私達の一族は結局どちらも選ばなかったけども、それでも生きてゆける道なんてのは手段とかプライドとか、前提を考えなきゃいくらでもあるし、まったく無いかもしれない。要するにその時になったら私は考えるよ。


「最近随分と景気がよさそうだね、朗君。」
「まぁな、ってもその分毎日毎日筋肉痛で死にたい気分だ。いっそのこと痛みが取れる薬でもやろうかなーとか思ったりもしたんだが、どうにも薬は体にあわねぇみたいでな。んで部屋にいても怖いお兄さんに追い回される日々なんでここで休んでるって訳さ。」
郎君、と呼ばれた男は全身をカウンターに任せて寝る姿勢をとってくる。見た目はなんとか10台に見えなくも無いが、実際は今年で4回目だかの大学浪人真っ最中の落ち着きの無い二十代である。
いつもはツナギなんかを着こなしてたりするのだが、今日は珍しくジャケットなんぞを羽織っていっぱしの若者を気取っているようだ。
「それで、今日は何の用事だい、まさかここで寝に来ただけなんて言ったらお兄さんなんかより怖い人にたたき出される可能性があるけれども。」
「あー、やっぱりダメだった?そんなに怒んないでよー、こわーだよー。」
「いままでのツケを返してくれるなら考えるけどね、無論修理費も含めて。」
合計金額はおよそ36万。
「そりゃー無理な話だよ店長さん、さっきまで金はあったけども、愛車のチューンに使っちゃって今はココに来るくらい無一文なんすよー。てことで飯なんかくれませんか、実は2日ほど水しか飲んで無くて。」
朗君にしてはテンションが低いと思ったらそんな理由があったのか。こちらとしてはやりやすいんだが、どうにも張り合いが無いのは寂しい。
無言で店の奥の台所兼厨房へ行く。昨日のあまりもので十分か。
「ほらよ、こっちも最近仕事が全然無いんで厳しいけども、これくらいなら食べてけ。」
「おお!貴方は神ですか!」
心にも思ってない事を言う男だ。
朗君は目の前に置いたカレーライス(特盛り)を飲み込むように平らげてゆく。そのさまはまるでどこぞやの大食い亡霊でも見ているようだが、それも付加価値としてのキャラ付けなのか。
そういえば、亡霊がメシを食ったらきちんと排泄するんだろうか、それともプラズマにでも分解するの?案外これはミステリーかもしれぬ。
そんな事を考えていると。ぐふぅ。と蛙のような声を出して郎君が食事を終えたようだ。
「んで元気になったか?ならさっさと本題を話せ。」
「もう少しこの余韻に浸らせてください、空腹とは最高の調味料とはよくいったもんだ、人生でもしかしたら1番うまかったかもしれないぜ今のカレー。」
「答えたらおかわりをあげようかと思っていたが、いらないようだね。」
「ちょ、まってくれ!話す!話すから!」
現金な男だ。
「本当は少女ちゃんが居た方がよかったんだけど、今いないん?いるなら呼んできて欲しいんだけどにゃー。」
「何故猫語。」
「名前はまだ無い。にゃー。」
「答えになってない。まあ、少女ちゃんは居るには居るが・・・・・・。」
「喧嘩でもしたのかにゃー?そうなのかにゃー?それは良いことを聞いたにゃー。」
「違う、書庫に居るからあまり邪魔をしたくないだけだ。」
「あ、あー。なるほど。それは仕方が無い。俺はもう耳を食いちぎられるのはごめんだしにゃー。」
「一体お前はドコの異世界で経験した記憶を今ここで話しているんだ。」
「冗談ですよ店長。」
「まあ、一応仕事の話なんで、降りてきてもらえると嬉しいかにゃーって事なのにゃー。」
「段々厳しくなってきただろ、オマエ・・・・・・。」
いつの事だか忘れたが、象語とかを試していた時期もあったな。

仕事。
 ここでは便利屋業の事だ。
 前向きは喫茶店を経営しているという事にはなっているんだが、生憎の超がつくほどの立地の為か最高赤字期間の記録を日々更新し続けるような日々になってしまっている。
 便利屋と言っても、私は興信所みたいな仕事を予想していたのだが、始まってみれば常に死と隣り合わせみたいな事ばっかだった、だけども報酬は異常と言えるほど良いので生活苦の我々には甘んじて受けるしかなかった。そんな話だ。
「少女ちゃーん、郎君が仕事もってきてくれたよー。おりてきてー。」
二階の書庫に向かって少女を呼ぶ。
「あーん?郎が?仕事?めんどくせぇなぁったく。」
そんな声が聞こえてきてから、階段が抜けるかと思う速度で少女が降りてきた。
「ういーっす少女ちゃん、元気だったかー。愛してるよー。」
「死んでおけ、ったくやっと解析がはかどってきたってのに、面倒だったらありゃしねぇ。」
2日前に持ってきた本か、随分嬉しそうにしてたが、少女が嬉しそうに読む本なんて、のは大抵が一般向けしない物ばかりだ・・・・・・。
「とりあえず、仕事ってなんだい郎君。」
「えーと、実は俺が一人で請け負ったんだけども、案外強くてさ、お手伝い頼みたいなーって話なんだけどにゃ。」
「店長。」
「なんだい少女ちゃん。」
「寝てくる。」
「あいよ、おやすみ。」
「まーーーった!まて!確かに俺が悪いんだけど手伝ってくれてもいいんじゃないかな!うん!」
「お前が勝手に手ぇ出した仕事になんで手貸さなくちゃいけねぇんだよ。」
「同意です。」
「二人とも今日はひどくないかな!いや、もちろん報酬は4:6でわけますよ?」
「んじゃおやすみ。」
「わかったよ!3:7でいいよ!」
「2:8だな。」
「ですね。」
泣きそうになってきた朗君だったが、しぶしぶ承諾する事にしたようだ。
「それで内容は――。」


「やるなら明後日にしてくれないか、明日は用事が入っててね。」
「構わんよ、というか体直すのに丁度それくらいかかるかなーとか思ってたわけでしてね。」
「都合良いなら俺は寝るぞ。」
おやすみ少女ちゃんと言おうとした時には既に背中が見えなくなるところだった。
「それにしてもフルタイム暇人のはずの店長が用事なんて珍しい事もあるんだにゃ。」
フルタイム暇人とは失礼な、一応仕事はしている。
「本当なら無視したいとこだが、区長さんに会議に出ろといわれてね、面倒だが出ないと後が恐い。彼女ならこの店にナパーム打ち込むくらいなら許可出しちゃうような人だしね。」
大量の黒服と一緒にご来店なされていきなり、週末に会議がある、出席しろ。それだけ言って帰った人だからな・・・。
怪訝な顔をこちらに向けてくる郎君。
言いたい事があるなら言えと促す。
「いや、店長との付き合いも今日で最後になるのかと思うと・・・・・・ね。」
「冗談にならないから恐ろしいよ、というか君ほどの楽天家でも彼女は苦手なのか。」
無理は無いかもしれないが、彼女は怪物中の怪物だ、人間の群れの中でよく生活できたなと思うのは、あの獣じみた視線のせいだろうか。世界は敵しかいないような空気を出している。知識をもった獣とは、素直に恐ろしい物にはなれないかもしれないが、恐怖の対象には十分すぎる。
「彼女に馬鹿やれる人間を俺は一人しか知らないにゃ。」
っても俺の後輩なんだけどね、と嬉しそうに話す郎君。
「というか、そもそも何の会議なんだ。JRR会議のアレかい?」
世界異常発達者機構発達者対策会議、通称ファンタジー対策会議、それではさすがにファンシーすぎるので偉大な作者の名前をとってTRR会議と呼ばれている。とかなんとか。
「そういうことじゃないかね、ほとんど実験動物扱いが確定したようなもんだし、何らかの報復はあるんじゃないかね、話によると悪魔と学長も来るらしい。頭の痛い話だよ。」
「あらあら、悪魔はいいとして、あのご老人も来るんかい、最近は大学にも全然顔を見たヤツが居ないってのに一体どこで何をしているのやら。」
「一応教育機関関係全ての管理とかまかされてるらしいしね、余波受けて続けられなくなったら事なんだろう。」
金の亡者とも、違う、教育の亡者。
知識というか、教育があればどんな思考でも統一できるとか考えてるんじゃないかと囁かれてる半狂人でもある。
「それにしてもなんでまた店長が呼ばれたんだろね。」
私にしても不思議でならないよ、そう言って笑って見せたが、心当たりが無いわけでもない。つい先日の仕事で嫌な最期を見たというか、聞いたというか。

「失礼しますよ。」
ドアを2回ノックして入る。
会議室にはまだ私を含め3人しか到着していないようだが、私には全てで何人の参加者が居るのかも聞いていないので、まだ3人という言葉は不適切かもしれない。
中に居たのは、会議室という場にふさわしいとは到底言えない少女、いや幼女と言った方がいいのではないかと思えるほど幼い女性、どこかのお嬢様だといわれれば納得してしまうほどの外見だが、上から下まで全て深紅で染め上げたようなワンピースは、どこか禍々しく、嫌な感じがする。もう一人は悪魔か。はぁ・・・。
「いらっしゃい、貴方も呼ばれたのか。」
そう悪魔が気さくに話しかけてくる。
「どうせ貴方がまた噛んでるんでしょう、白々しい。」
攻撃的な口調で、幼女がいきなり吼えた。
「おやおや、肉幼女。貴様がそんな事を言うほど馬鹿だとは私は思ってはいないのだがね。」
「お気遣い感謝いたしますわ、なんて言うとでも思ったのかしら。」
「フン。どうせ全てを知って私をからかっているだけなのか、新人に私達の関係をかんぐられたくないのかね。」
悪魔も負けじと返すが、あまり悪意があるとは思えない。なかなかの舌戦である。
「まぁ、お二人。やるならば後でいくらでもやってかまいませんので、私の前で諍いを起こすのはやめていただけませんでしょうか。どうにも最近感情の抑制がうまくいかないのです。」
おや、それは危ない。そう悪魔が笑いながら言うのを見て。幼女も何か思うところがあったのだろうか、私を静かに睨んでから、そっぽをむいて黙ってしまった。
「ところで悪魔さん、一体なんで私はこんな所に呼ばれたんでしょうね。」
「さあ、それは区長に聞くしかないんじゃないかね。」
「貴方の呼ばれた理由も聞いているんですよ。」
「私?私が呼ばれた理由?そんなもの決まってるじゃないか、私は悪魔であり、細菌であり、賢者であり、愚者と呼ばれる男だ。そんな男が何の理由でここに来るのだろうね、店長さん。」
「要するに貴方もわからないんですね。」
「なかなか鋭いな店長、完璧に間違えてることを除けば、パーフェクトだというのに。実に惜しい。」
私は良い道化だなこれじゃ、そう思い。首を傾げてから適当な椅子に腰掛ける。

しばらくして、区長を先頭に数人が入ってきた。どれも私が見た事の無い顔だ。
その内の一人が私を見て苦い顔をしてきた。もう見なくなって久しい制服は、警察と呼ばれてした集団の物だった。
それぞれが無言のまま円卓に着くと、区長が口を開いた。
「さて、二人ほど遅れているが、そんな事を気にしていては私の身が持たない。各々知っている顔もあると思うが、一応説明しておく、私の右から、肉幼女、巡査、悪魔、地下管理局局長代理、不死者。遅れているのが学長と鬼だが、鬼のほうはどうせこの天気では来ないだろう。」
私達を見回して、さも忌々しそうに言う。
それにしても、不死者ねぇ、久々に言われたが。どうにも格好が付かないので好きじゃない。
「それでは本題だ――。」


「で、何だって、会議の内容は。」
「企業が介入してくるんで、自衛しろって話ですよ。」
会議の終了と同時にやってきたこの老人は、もうおわっちゃってたの。などとふざけた事を悲しそうな顔で言ってきた。そして私を見るといきなり明るくなり、あそこの元教え子に聞くよ。と現在に至るわけで。
「自衛ねぇ、自衛。殺し尽くせとは言えない区長らしい言い方だ。まぁ、私の家で好き勝手出来るのは悪魔とか鬼とかそこら辺しか居ないのだがね。」
楽しそうに笑う老人の顔の半分は黒々とした刺青で埋まっている。もう八十は越えてるだろうに、相変わらず死にそうに無いジジイだ。
「それにしても学長、最近見ないって郎君言ってましたけど、何かしてたんですか。」
適当な話題を振っておく事にする、私の大学時代の話など思い出されてはたまったもんじゃない。
「いやぁね、うちの学生にちょっかいかけた連中が居たんで、教育してきてあげたんだけど、さすがに100人超えると一人じゃ辛いねえ。もう私も引退かなぁ。」
「何をしたかは聞かない事にしますよ。」
どうせ洗脳でもしたんだろう。




 男は四本の腕を全て使い、私を叩く。一撃でも十分に重い。
骨はすぐに粉々になってしまう、筋肉は引きちぎれる。皮膚は裂ける。そして血が噴き出す。
背後の壁まで追いやられる。連撃は止もうとしない。視界は既に無いはずなのに、脳裏には私がひき肉になってゆく様子が綺麗に写っている。
これは、彼の見ている映像か。
彼は歓喜している。自分の力を誇示できるのが嬉しい。それだけしか無い。実に単純だ。だからこそ強い。
しかし、脆――。

最後の一撃で、私の脳漿が飛び散り、顔は陥没してしまった。確かに、死んでいると思われるには十分な破壊だ。
男は、私がひき肉になったのを確認してから、路上で倒れている少女の方へと歩を進める。
殺しきるのか、その前に楽しむつもりなのか。後者ならば許せるが。前者の可能性があるのは、軽視は出来ない。
「あ、あー。」
喉から声をひねり出す。声帯は修復されたが、まだしゃがれた声なのは、血が喉につまっているからだろう。
血痰を吐き出す。
男が振り向く。
私はもう立っている。
「君の感情程度じゃ、私は死んであげれないんだ。」
言葉は出れども、現実感が伴わない、何か別の物に言わされてるような感覚。
男は何を感じているのだろう、歓喜か、恐怖か、それとも別の物か。
男が吼える。
初めて聞く男の声は、実に綺麗な獣のソレだった。
私は告げる
「さようなら。」
そして続ける。
「君は何人の殺意まで耐えられるかな?」
これも全て。ただの戯言や戯言にしか過ぎない。


堤防が決壊する。
一人の身に入るはずもない憎悪、殺意そして歓喜。
体の全てが内側から飛び散るような感覚だ。
男が私を破壊しようと襲い掛かる。
全ての殺意に方向性を与える。
男が墜落する。
うつぶせのまま動かない彼をやさしく仰向けにする。
そして私はゆっくりと人差し指を彼の瞳に刺してゆく。
それでも男は停止したように固まっている。
そして、先端が眼窩に当たる、構わず押し込む。骨が折れても、肉が裂けても、私に問題は無い。
そして指先が柔らかいものへと触れる。
男の意識はそこで消えたのを感じた。




















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