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2008.06.25

こんなん書いてます。



何故こんな事になってしまったのだろうか、と思考をめぐらせてみるがやはりこんな事は考えても仕方が無い。
なってしまったのだから。
異能と呼ばれ人外と呼ばれ怪物とよばれ、そして人と呼ばれていた者達が集まる場所。正確には政府の政策によって半ば強制的に集められたこの町。
そんな場所で喫茶店を開いている私。
いつの間にか住み着いた少女。
脳内で四六時中何かをしているMr。


まあ、やっぱり考えても仕方が無いものは仕方が無い。



目が覚めた。
昨日は少女に付き合って少し遅くまで遊んでいたので体にはまだ疲れが溜まっているようだ。
時計に目をやる、時刻は午前9時。店を開けるには少しばかり遅い時間だ。
隣では少女がすうすうと可愛らしく寝息を立てている、私の右手に一糸まとわぬ自分の体を絡ませるようにして。
……これでは起きられない。
「朝だよ」
と空いている左手で少女の体を揺すってみる。
「…………まだ眠い」
少し間があってから返事が来る。
しかしまたすぐに寝息を立てようとしてくる。仕方が無いので力技で右手を引き抜く。
少女は不満らしく、今度は抱きついてこようとするが布団をスケープゴートにして抜け出す。
「30分もしたらご飯できると思うからそれまでには起きてね。」
ベッドの下に散らばっている下着を拾いながら言う。
「んーーーー」
と一応の返事は返してくれるがまた寝息を立て始める。
まあ問題は無いだろう。
しかし、目が覚めたとはいえまだ少し眠い。
しょうがない、シャワーでも浴びて頭にかかってる靄を晴らそう。
浴槽でいつも通りの少し高めの温度に設定した温水を浴びる、やっと目が覚めてきた。
今日中にやらなくてはならない事は特に無いと確認し、浴槽を出る。いつも通りの紺色の服に着替え台所へ向かう。
何作ろうかねぇ、冷蔵庫の在庫にはあまり期待できない。そういえば前に買っておいたパスタが残っていた、朝はそれでいいだろ。
幸いな事に以前作っておいたミートソースの残りがあったので麺を茹でてからめ、後はスープを作って朝食の準備は終わった。
所要時間15分弱、シャワーを含めて30分ちょいとなかなかの手際の良さだと自分を褒めたくなるが、少女の方がまだ早く作れるので自重しておこう、世間知らずなお嬢様みたいな見た目に反して料理の腕は私の何倍も良い。
さて、次は寝室だ。
「ごはんできたよー、おきろー」
肩をガンガン揺すりながら少女に言う。
「あー、うー」
曖昧な返事の少女
「食べないなら全部頂くけどいいね」
「だが断る」
「なら早く着替えて来てね、着替えは出しておいたから」
うー、と唸りながらものそのそと起きて着替える少女。
自分はスープとミートスパをよそって準備を完了させる、こんなもんだろ。
やっと着替え終えて眠そうな顔で食卓につく少女、長い髪がぼさぼさなのは後で私になんとかさせるのだろうな。
いただきます……、と呟いてもそもそと食事を始める少女、私も頂くことにしよう。
二人とも無言で食を進める、こんな静かな朝食も久々でどこか新鮮だ。

食事を終えた辺りで少女もやっと目を覚ましたらしく、茹で加減が甘い、とだけ言い残してシャワーを浴びに行った。
次回から気をつけることにしよう。
後片付けを終えて店を開ける準備に掛かる、と言っても入り口を開けるだけなのだが。
店の表の扉を開け、取っ手にかかっていた札を裏返す。
閑古鳥が数千羽単位で鳴いて、1ヶ月に来る人数が両手で数えられるこの店に今日は人が来るのだろうか。
開店時間があいまいで11時に店を開ける時点で客商売としてはどうかと思うのだが、まあ半分趣味みたいなものだ、そこらへんは妥協してもらおう。
さて、汚れ一つ無いカップ類をまた磨く作業に移ろうか。


午後1時
朝食を取るのが遅かったため、昼食も少し遅くする事にした。
おかげでこの時間の使い道が無くなり、簡単に言えば暇になり、読みかけだった本を読んでいると。
「カラン、カラン」
と扉の鈴の音と同じくして一人の男性が入ってきた。
見た目は20代、もしくは10代後半の大学生、短髪に短パンに【無責任】と胸に書かれたTシャツ、そしてサンダル。
髪は茶色がかっている。
あまりこんな寂れた店に来るようなタイプには見えない男だ。
いらっしゃいませ。と決まりきった定形文を告げる。
男はポケットに両手を入れて店の中を観察しているようだ、ひとしきり観察が終わったのかやっとこっちを見て。
「ういっす!なかなか良い店だな。」
と褒めてきた、何を考えてるのかわからないが自分の店を褒められて嬉しくないわけではない。
「ありがとうございます、それで何かご注文はありますか?」
「喫茶店に来て頼む物なんてハニートーストかコーヒー、もしくはその両方と決まってるじゃないか、てことでコーヒーね!砂糖とミルクありありで!」
「わかりました、席はご自由にどうぞ、他に人なんてそうそう来ませんから。」
「随分と自虐的な店長だな、気に入った!」
随分と楽しそうに言う男、どちらかと言えば私より店を気に入ってほしい、男に気に入られても良いのだが、生憎私は年上専門だ。
「まあ、本当の事なので仕方が無いですよ」
と苦笑する。
男はカウンターの私の目の前に陣取るとしばし私がコーヒーを入れる様子を観察しているようだ。
沈黙が数秒ほど続く。
男は静かに私の行動を見ている、視線を感じるがそれほど嫌ではない。
「それにしても、どうしてこんな店に来たんですか」
コーヒーに砂糖とミルクを限界まで入れて差し出す。
男は差し出されたカップを持ち上げて。
「まあ、ちょっとした用事みたいなもんだよ、とりあえずコレ飲んじゃったら話すかな。」
と、コーヒーを一気に飲み干した。
まてまてまてまて、90度近い温度の液体をいきなり飲み干すような事をして平気なのかコイツは、それよりもう少し味わって飲んで欲しかったものだ。
ふぅ、と男はカップを受け皿に戻すと数秒沈黙した後に。
「あっっっつぅううううううううううううう!」
と大声で叫ぶ男。
当たり前だ。
「大丈夫でしょうか、というかコーヒーは一気に飲み干すものじゃないと思いますよ」
一応の気遣いと個人的な意見を述べておく。
「あっちーあっちー、まあ個人的なポリシーってやつかな!コーヒーは一気に飲まないと気がすまないんだよ」
あれだけの反応をした割には案外余裕の男である。
さてさて、と何事もなかったかのような振る舞いの男。
「えーと、此処に来た理由だっけか」
そういえばそんな話もしていた。
「まあ、その前に店長さん、アンタの名前を聞いときたいんだけどね」
また前置きか、とりあえず名前を言おうとして。
「あ、まったまった!名乗りは聞いたほうが先に言わないと森の双子に怒られちまう決まりだったな、一応現在名は【朗】、朗君で通ってるよ。まあ本当は別の名前もあるんだけど格好悪くてな、こいつで呼んでくれ。」
「私は【店長】ですよ、特に当たり障りも無い名前ですけどね。」
「そうか、んじゃまぁ本題に入ろうか。」
自分で振った割にはあまり興味が無い様子だ、むしろ自分の名前を名乗りたかっただけなのではないだろうかこの男。
「どうぞどうぞ。」
「簡単に言えばな、アンタを殺しに来たんだよ。なんか俺の正義に反応しちゃってね!悪いけどそういうわけで死んで下さい!」
「はい?」
言った瞬間に椅子に座っていた朗と名乗った男がカウンターに両手を付き、その体勢から起用にも蹴りを左側頭部に叩き込んできた。
完璧に食らってしまいカウンターに横倒しになる、食器がいくつか落ちて割れた、そこへ上から追撃の降下型ドロップキックを放ってくる、目標は頭部だと思われる。
意識が曖昧で体も上手く動かないが、そんなことを気にしていては頭を潰されてしまう、なんとかギリギリで体が反応してくれて横へ転がりとりあえず避けられた、が。狭いカウンターで横倒しのままと立っている彼ではあからさまに分が悪い。
躊躇無く私の顔を目がけ足を向けてくる。
あ、ヤバっ。

次の瞬間に店長の顔に朗君の体重のほぼ全てが掛かっている一撃が命中した。
骨が折れる鋭い音と肉が潰れる鈍い音の両方が響いた。

「ありゃ、案外あっけなく終わっちゃったな。」
と物足りなそうに呟く。
んー、処理どうしようかなー、うめちゃおうかなー、まあ放っておいても大丈夫か。などとブツブツ言いながら店長の頭部を何度も何度も踏みつけている。
「一応不死者とか聞いてたけどただの噂だったのか、残念だにゃー。」
さてと、と死体は放置しておくことにしたらしく、店を後にしようと扉へ向かう彼であったが。
取っ手を開こうとしたときに不意に固まった。
「おかしーなー、完璧に破壊したはずだから店長だかって男じゃにゃーはずだにゃー。」
後ろを向いたまま、後ろに居るであろう気配を出している者に聞こえるように言う。
「じゃあ一体だれなのかにゃー。」
振り向き様に短パンのポケットに入れておいた小型のナイフを気配があった方向へ投擲する。
「何してんだお前。」
ナイフが向かっていた標的はそう呟きながら事もなさげに空中でナイフを掴み取る。
「あーあー、店長グチャグチャじゃない、掃除するのは私じゃないから別に構わないけど。」
「えっと………あれ?」
「何困惑した顔してんのよそこのシリアルキラー。」
目の前にいるのが男物のTシャツ着て下は穿いてるのかもわからない長髪の少女でなければここまで困らないだろう。
「おかしいなぁ、悪魔の話だと店長一人だとか聞いてたんだけどなぁ…。」
「勝手に自分で解決しようとしてんじゃねぇよ。」
向き合ったまま片方は腕組みをして固まり、もう片方も困った顔で固まっている。
「んー、とりあえずあれだ。」
口を開いたのは少女。
「一応私の獲物を勝手に襲ってくれたんで、そこら辺はきっちりと清算してもらわないと気に食わないかな。」
唇の両端がだんだんと上に上がって行き、微笑みの形に顔が固定されたところで。
「何か文句でもあります?」
と目はまったく笑っていない少女が言った。



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